サイボーグ

鈴木:あれはどうですか?サイボーグの話。
近:東さんに聞きますが、サイボーグについてはどういう見方をしてますか?
東:ちょっと待ってよ(笑)。なんなのそれ。
鈴木:この前の飲み会でサイボーグで一時間とうとうと語ったじゃないですか。
東:サイボーグはどうなんだろう?
近:僕ね。鈴木さんの「純粋ロボットよりサイボーグが行くんじゃないか」ってのは、あれから相当影響受けていて。
令子:ことあるごとにしゃべってる。
近:で。で。しかも、よく考えると「Google」と「はてな」なんですよ。
鈴木:機械でやっちゃうか、人間共有か。
東:そうなんだ(笑)。まったくその通りだ。で。
近:それで、結構そうだなぁと思って。
東:衝撃だなぁ。
鈴木:ちょっと間違えてるんだけどね。Googleもどっちかと言うと、サイボーグ側なんですよ。ハイパーメディアの中ではね。AIの世界とハイパーメディアの世界があって、AIとIA。傾向の違いはあるけど。
近:Googleって、人間の存在みたいなのを排除しようとしてません?
鈴木:そんなことはない。書いたコンテンツ自体人間が書いたものだから。
近:そうですけど、それを書いた物自体どうこうしようっていうときは。
自動化っていうの?
鈴木:自動化の徹底度というのははてなに比べたら、Googleの方が高いと思う。近藤さん、それについてはどう思います?そこに人間を入れていこうと?
近:そうですね。
鈴木:どちらかって言うと、ソーシャルメディア
近:この間、梅田さんと話したのは。いま言語が大陸のようになってるじゃないですかネット社会で。
鈴木:そうだね。英語と日本語と分離しちゃってるっていう。
近:物理的な場所関係ないんですけど、言葉ってのがいま、一つの行動圏を決めているような気がしていて、それを越える物に、たぶんその言語の壁を越えるみたいな方法が、何によって実現されるのかっていうのにすごい興味があるんですけど。
鈴木:それは基本的には身体性の話になるんだろうね。
東:僕はそれは僕は難しいと思いますねぇ。(沈黙&いきなり話し出して驚く周囲。不思議な笑い)いやねぇ、あのねぇ。インターネットとかが出現することによって。様々な言語圏というのが一気にリンクし出現するわけですよね。で。例えば僕だったら、英語とかフランス語とかのブログが読める。読む可能性は出来た。かといって読むかというと読まないわけ。何故かっていうと、つまり、日本でもそうだけど「2ちゃんねる」を外国人が読めるかっていうと読めないわけじゃない。外国人の日本語研究者っていうのはさぁ、日本について、何か知ろうと思ったら、昔だったら朝日新聞NHKを押さえておけば何とかなったわけね。けど、いまだったら2ちゃんねるを押さえとかなきゃいけない。でもそれは、障壁がめちゃめちゃ高いわけじゃない?
近:確かに。「キターーー(・∀・)ーーー!!」とか。
東:インターネットで何を起こしたかっていうと、一言でいうと方言とかすごい共同体同士の言い回しとかを表面に上げていくわけですよね。かつてだったならば、そういうことは全部活字にならないと。活字になったり、放送に載るっていうのはかなり標準化された情報で、その標準化の過程ってのが、日本とかドイツとかフランスとかアメリカとかっていう各国民国家ごとに行われていた。それが流通するってのがやっていたわけですよ。だから、国際的に成れるわけね。全部、本当にそこら辺の言葉が全部表面に出てきて、それで流通するっていった場合、インターナショナルっていうか、グローバルであることの障害・ハードルはむしろ高くなる。しかもこれはやっぱりいま言っている事の性格上、自動翻訳によってとかはどうしてもカバーできないはずなんですよね。
近:そこで逆に人力が介在することで、一人が翻訳してしまえば、他の何百人がそれを全部読めるみたいなんはどうですか?
東:だから、人力の造語的な、「キターーー(・∀・)ーーー!!」みたいなのをどうやって翻訳するかてのを、アメリカ人の日本語翻訳家みたいなのが検索エンジンみたいなのを使って翻訳し、それが結構ディレイ(遅れ)がなく、翻訳エンジンみたいなのにフィードバックされるような世界を上手く作れればできるでしょう。ただ、その時でも、たぶん、決定的な情報のズレは生じるわけですよ。
近:そうですけど。
東:そのズレが決定的になっちゃうんですよね。わかりますか?つまり、日本について最先端のことを知ってるっていうためには、日本人以上に日本のネットに詳しくなきゃいけないっていうような、ことが強いられている状態になっちゃってるんですよ。逆にいま。
近:でも。僕はあまり、その差を埋めることには興味がなくて。普通の人が行動圏を広げるみたいなことを。
東:それは出来ます。それは圧倒的に出来ます。
近:昔、isedで東さんが「物理的な壁を越えるインパクト」みたいなことを言ってたじゃないですか?大陸の間をコンコルドが何時間で飛ぶとか。そういうインパクトみたいなことを言っていたでしょう。僕はそれをまさに、言語の壁をどう越えるのかみたいなことがすごいそれに近い気がしはじめてるんですよ。
東:ただねぇ。つまり、あの…。
鈴木:ちょっとしゃべってて良い?(笑)
東:なにしゃべんの?たぶんユーザー減ったよ。「すっげー、うぜぇー」とか実況スレとか聞こえてきそうな感じ。俺だったら書くね。
鈴木:それは物理的移動可能性をいかに高めるかって事と関わってる気がする。
東:「鈴木健、話わかってねぇ」って2ちゃんのスレとか見えてきそうだよ。
鈴木:じゃあ、どうぞ。
東:いやいや、それはその通りで。僕が言いたいのは、物理的/バーチャル的ってことを言ってもしょうがなくて。問題はむしろ情報量の問題だと思うのですよ。つまり、かつてメディアというのはちっちゃい情報しか運んでないんですよ、他の国に対して。それが、日本の今ってのにそのまま世界中からアクセスすることができるようになったと。その結果何が問題になったかっていうと、人間の認知限界っていうのは能力の限界ですよね。つまりじゃあ、そのまま出されても困りますよってわけですよ。
近:いや、でも。それは全員が同じ物取捨選択しなくて良いって前提に立てば別に良いんじゃないですか?(イリーナ・エドワルドヴナ)スルツカヤって居たじゃないですか?
東:スルツカヤって誰?
近:今回フィギュアで銅メダルの。
東:押さえてませんねぇ。荒川が金メダルを取ったぐらいしか知りませんよ。
近:その銅メダルのスルツカヤってすごい病気を患っていて、実はすごい後ろにドラマがあって、しかもなんかドキュメンタリーを今日やってたんですよ。それを観たら一気に好きになって。「金メダル取って欲しかったなぁ」とかすごい本気で思ったの。で、スルツカヤブログとかあったら、どんなに応援していただろうと思うわけ。
鈴木:(スルツカヤブログの存在が)日本語でね。
令子:ジュリーは、あれやなぁ。対象への愛っていうのが強いんやろなぁ。
近:でも、大体それを決めるのは情報量なんですよ純粋に。
東:でもね。世界ってアルファベットだけの国じゃないじゃないですか。検索っていうのに、検索に何を打ち込むかっていうのも、そんなにニュートラルじゃないんですよ。世界中がアルファベットの文字を使ってれば良いんですけれども、例えば2ちゃん語って検索するのにも結構大変ですよね。普通に考えて。そういう障害が、これからどんどん起きてくるわけですよね。
令子:アラビア語とか。
東:アラビアまで行かなくても、ハングルとか中国語でも良いですよ。つまり、例えば、日本語で嫌韓という言葉がありますけど、嫌韓というのは普通の辞書にも載ってないし、ATOKでも翻訳されませんですよね。アメリカ人が、コリアバッシングが日本のネットで起きていると思う、しかも日本語が多少読めるアメリカ人だったとしましょう。そいつが「嫌韓」でGoogleで検索するかっていうと、検索しないわけですよ。嫌韓て言葉知らないんだから。そういう問題が起きるんですよ。これがなかなかクリアできない。
近:それを全部オープンにしたら良いんじゃないですか?
東:オープンにしたとしても、そのオープンな情報にどうやってアクセスするかっていうところの障壁は、なかなか崩れないだろうと。
近:それはでも、嫌韓が変換されないとかいう種々の問題てのは誰か一人が権力を握っているからダメなんじゃないですか?
東:それはないと思いますよ。だって、嫌韓って言葉が、そこのキーワードであるっていう情報をどうやって集めるかってところがあるでしょう?
近:そうか。確かにそうか。
東:障壁は中々消えないんですよ。
(中略)