有名なバンドの有名なアルバムばかりですが
Steropathetic Soulmanure
Stereopathetic Soul Manure
ベック・ハンセンのインディーズ時代のアルバム。ダイヤの原石ってこういうのを言うのだなというCD。音楽の形式にはなってないが、どんな楽器を使っているのか想像もつかない。いままで聞いたことのない不思議な音色が詰まっている。音楽好きよりもは音源好きにおすすめ。
Definitely Maybe
オアシスのインディーズ時代のアルバム。安い機材、下手な演奏者でいかにしてまともなアルバムを作るのかに焦点が絞られている。作詞作曲演奏をしているノエル・ギャラガーが、他のメンバーの演奏技術に何も期待していないのが分かる編曲をしている。自分以外のメンバーには白玉しか弾かせない。音楽的な趣味の問題として、フィルスペークター的な音の壁を作りたかったというのもあるだろうが、他のメンバーの演奏技術に何も期待していないというところがやはり大きいと思う。低いコストでまともな商品を作るにはどうすれば良いのか?その一点のみに知恵が絞られた名盤。
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ベック・ハンセンが誰も聞いたことのない音を作る天才だとすると、ブラーは誰もが知っているジャンルの、誰でも聞いたことのある曲を、誰よりも洗練された形に磨き上げる天才であることを示した一枚。フォークソンググランジなど収録曲すべてがまったく別のジャンルの音をしていて、かつどこかで聞いたことのある音であるにも関わらず、今まで聞いたことのないほど整理された音をしている。
フォークソング一つとっても、パブで流しのフォークシンガーが歌っているという設定で、店の外の雨音やパブの客の話し声、曲の始まりと共に訪れる拍手や歓声、バーカウンターにジョッキを運ぶ店員の足音が、古いアコースティックギターの弦がこすれる音や振動板に指が当たる音などと一緒に録音されている。店の外を馬車が右から左へ通り過ぎてゆく音など細かな生活音が聞こえるが、個々の生活音が右側のヘッドフォン、もしくは左側のヘッドフォンからしか流れてこないことを考えても、これはすべて録音スタジオで、デジタルレコーディングされた音だと分かる。必要な雑音のみを意図的に入れて緻密に計算され整理されたノイズミュージックとして我々聴衆の元に届けられている。一見古いブルースやフォークの音源に似せた精巧なデジタル音楽に仕上がっている。
アメリカ進出に失敗し、アメリカ市場でベック旋風が吹き荒れ、「尊敬するミュージシャンはベック・ハンセン」と言い残してイギリスに帰っていったブラーの復帰作でブラーのCDとしては日本で一番売れた物であるらしい(当時)。低予算で誰も聞いたことのない音を作る天才(ベック)が高予算で既存の曲の完成度を上げる試みに苦戦し、高予算で既存の音楽ジャンルの完成度を上げる天才(ブラー)が低予算で斬新な音を作る試みに苦戦しているねじれ現象に不思議な感慨がある。