爆笑問題VS浅草キッド

いま、一番見てみたい対戦カード。最初にこのカードについて触れられたのは、フジテレビの24時間テレビ明石屋さんまがスタジオの爆笑問題とロケの浅草キッドがしゃべるのを見て「こいつら同期で仲悪いねん。いま一番見てみたいバトルや、お笑い最強決定戦。こいつら世代の最強や。」と言った頃。たぶん15年以上前。「お笑い最強決定戦」と言った後、しまったという顔をして「こいつら世代のな」と付け加える辺りにリアリティがある。


元々、同じ太田プロの同期で、芸風も同じ時事ネタ漫才で、毒舌キャラ、いまでは文筆業でもライバルの二組。TV業界でも期待のカードとされているが、この対戦を拒否しているのは、浅草キッド水道橋博士。拒否の理由は、元々浅草キッド主催でTVで放送できないネタをやるお笑いライブを浅草キッド大川興行爆笑問題の三組でやっていて、いまさらこのメンバーで、TVで放送出来ないネタをやる必要がないというもの。期待されるのはTVで放送できるネタでの対戦をTVのゴールデンでやってくれという話だが、水道橋博士的にはそのルールは受け入れられないらしい。


ライブをやっていた頃の上下関係で言えば、主催者の浅草キッドが上で、爆笑問題は下だった。でも、色々あって、TVで売れる方向を目指した爆笑問題が放送禁止ネタを封印して、TVでブレイクしてしまうと、かつて自分より下だった爆笑問題の冠番組に、ゲストとして出演させてもらう的な、上下関係の逆転が博士的に受け入れられないのだろう。漫才コンビとしては同期と言えども、浅草キッドの二人は十歳トシが離れていて、博士の方が10歳年上、同級生コンビの爆笑問題は、博士より5歳下で、玉袋筋太郎より5歳上。玉袋的には自分より年上の先輩芸人に突っかかっていく若手ポジションで戦えるが、博士的には自分より売れた後輩芸人の番組に昔のコネで出演させてもらって、先輩風を吹かせる売れない年寄り芸人に見えるのが嫌でしょうがないみたいだ。


戦うとして、どの場所(TVか放送禁止前提の小屋か)で、どのルール(漫才・コント・フリートーク)でという話になるが、コントでの体のキレを見ると水道橋博士が意外に良いパンチを持っていたりするのだが、朝まで生テレビ風のセットで、「お笑いとは何か」について芸論を闘わせるとか、お勧めの本について激論をするとか、太田VS博士の著作で争うとか、色々あるが、お勧めの本についての激論を見たい。太田光水道橋博士の本の好みは両極端で、太田光側は小説好きで、博士側はルポタージュ好きだ。フィクションとノンフィクションと言っても良い。事実がどうであったかにこだわる博士と、こうあって欲しいという希望について語る太田光。過去の事実と未来に対する願望、どちらを優先するのか。


最後は浅草キッドが無残に負けて、煮込みしかないくじら屋で「なんで、こんな風になっちゃったかなぁ。」と愚痴りながら「俺達、もう終わったのかな」「まだ、始まってもいねぇよ」と言っているバックで、BGMはビートたけしが歌う「浅草キッド」が掛かる展開だな。番組の最後にビートたけし著の小説「浅草キッド」を10名様にプレゼント。