鶴田-諏訪魔のカメラワーク

諏訪魔選手はジャンボ鶴田路線を目指しているのだが、だったら、諏訪魔選手の試合を撮るカメラは、二階から俯瞰でズームを使わなくちゃいけない。リングサイドのリング下から煽りで撮っちゃダメだ。


要はアップで撮るのか、ロングで撮るのかの話で、俯瞰だとズームを使ってもロングショットになる。アップの方が選手個人の感情・表情は伝わるが、ロングの方がその競技のルールや戦術が伝わる。


Jリーグが始まったときに、日本初のサッカー地上波全国ネット定期放送がスタートした。最初は、カメラマンはボールを持っている選手の顔のアップや、ドリブルしている選手のボールのアップを撮った。ボールのアップを撮れば、ボールを持っている選手の足さばき、ボールを取りに行く選手の足さばきが撮れる。でも、パスをもらう側の選手が、マークを外すためにする動きや、一列目が左右の片側に寄って、相手ディフェンスを片側に寄せておいて、空いたスペースに二列目の選手を飛び出させて、パスを出すといった動きがロングショットじゃなきゃ撮れないので、すぐにロングショットを基本にした撮影に切り替えた。


プロレスの撮影方法も色々あるが、上からの俯瞰で撮ると、リング中央から相手選手の胸板を押して、ロープ際に突き放す選手が強そうに見える。ボクシングや相撲の試合もそうだが、上から撮ると、リング中央から相手をリングの端に追い詰める競技に見えてしまう。ルール上、そういう説明をしなくても、映像的に、そうとしか解釈できない絵になる。ジャンボ鶴田選手や諏訪魔選手は、そういう撮られ方をしたとき、良い試合に見える選手だ。


リングを真横から撮ると、コーナー最上段に登ってミサイルキックを放つと迫力のある絵になるが、リングを真上にある天井カメラから撮ると、コーナー最上段に上っても迫力が出ない。真上から撮るなら、相手選手をロープ際まで押し込んだときに迫力が出る。