コミュニズム

マルクスがいったような意味での資本主義批判は資産の再分配率が0%か100%という問題で、ほぼ解決はついていると思う。60−70年代のスチューデントパワーが指向したコミューン(共同体)主義は分業制度に対するカウンターとしてDIYであったと思う。
ヒッピーの人たちが自前のコミューンを作るためのマニュアルとした全地球カタログで、暴漢に襲われたときの対処法等が書かれているのは、警察に頼らないことが前提になっている。少なくともこの人たちは、夜警国家の存在すら認めない、無政府主義的な思想を持っていたように思える。
コミューンはそのコミューン内で必要な物をすべてコミューン内で生産する自立した組織で、政府や警察といった外側の組織に頼らない。コミューン内の問題はコミューン内の直接民主制で解決する。政治を政治家に分業し、治安を守るための暴力機関を警察に分業しという分業を行わずに、すべてDIY(Do It Yourself)、自分達でやるのだとしている。
貿易で言えば、市場開放政策より、保護貿易鎖国主義に近い。分業のメリットとして、経済効率の良さがあるが、デメリットとして、業界内の不正が隠蔽されやすいという点がある。危険な農薬を使った農作物や養殖魚や牛肉が出荷されても、チェックが出来ない。専門的な知識を持った専門家でなければチェックする能力がないのだが、業界内の専門家がチェックをすれば、業界内のしがらみもあれば、消費者よりも生産者側へのシンパシーが強く出たりもする。
これって、まんまフーコーじゃんと思ったが、いまの時代に右翼的−左翼的という政治対立を作るなら、分業推進派と反対派になるのだと思う。
政治なんてのも本来、政治専門の専門家である政治家に分業がまかされている以上、選挙など行わずに素人のチャックなしで上手く回せればそれが一番良いに決まっている。分業のメリットは、自分が担当している業種のみの知識や技術を掘り下げ、他の業種に関して、知識や技術も持たなくても上手く回っていく点にあるわけで、全業種の知識を身に付けていちいちチェック機能を自ら働かさなければ安心した生活が出来ないなら、DIYと同じだと思う。