ジャスコ化

「東京から考える」東京から考える―格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス) という本の「ジャスコ化」という用語が話題になっていて、ジャスコ化という語に対しては色んな意味でツッコミやすいところがあって、だからこそ話題になるのだと思うし、ある種の物議をかもし出すのだと思う。物議をかもし出して話題を振り撒くのも出版社の戦略だと思えなくもないが、あえてその戦略に乗ってみたいと思う。


本の中でジャスコ化は、
1)個性的な都市(秋葉原・下北沢)がチェーン店だらけの平準化した個性のない都市になる状況を指す。
2)線路と駅を中心とした古き良き商店街での消費行動から、幹線道路と自動車を中心とした、広い駐車場を備えた大型量販店での消費行動へ移る状況を指す。
と多義的に使われている。
しかし私の知っているジャスコは駅前にあり、駐車場はなく駐輪場がある店で、2の意味とは正反対のイメージがある。さらに言えば、下妻物語で描かれているジャスコは、ヤクザやヤンキー、暴走族の人達が服を買う個性的な店であり、1のイメージともずいぶんかけ離れている。実際同書P154でも「このジャスコが24時間営業で、またピカピカ光っているわけですね。夜中に行ったら、千葉県から越境してきたヤンキーの自動車がガンガン停まってました。」とあるように、かなり個性的な店だと思える。


個人的には、関西にも住んでいたし、関東にも十年ほど住んでいるが、ジャスコは大阪のイメージが強い。正直関東に来てから、ジャスコは見た記憶がほとんどない。ジャスコと言われてイメージするのは、上沼恵美子的な大阪のおばちゃんがいっぱいいて、そこに横山やすし的なナニワのあきんどが少数いて、「まいど、おおきに」「もうかりまっか?」「あきまへんわ」といったベタベタな大阪弁が飛び交うイメージだ。セブンイレブンが関東ローカルで、関西にはほとんど出店していないように、ジャスコは大阪ローカルで東京にはほとんど出店していないような印象があるのに何故「東京から考える」で大阪のジャスコが話題になるのか不思議だった。ジャスコについて少し調べると、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3_%28%E4%BC%81%E6%A5%AD%29の沿革を見ると三重県四日市市の企業と兵庫県姫路市の企業と阪急宝塚の企業が合併して大阪に本社を置くジャスコが1969年に生まれたらしい。1983年に本社を東京に移し、1989年にジャスコグループからイオングループへ名称変更している。私が知っているジャスコは1970年代後半から1980年代初頭にかけてのジャスコだ。ちなみにジャスコの店舗リストを見ると、http://www.aeon.info/jusco/shopinformation/shoplist.html東京にはジャスコは七店舗しかなく、マレーシア支店や中国支店、香港支店より少ない。大阪には18店舗、下妻物語の舞台にもなった茨城には12店舗、千葉は21店舗。土地が安くてヤンキーの多い場所に多く出店していそうだ。


ジャスコ化=ヤンキー化としてとらえるなら、ヤンキーは車に乗って幹線道路を走り郊外型の生活をして個性がないということなのか?ヤンキー化=動物化だとしたらえらく辻褄合ってるし。うむ。