「8時だよ全員集合」と「オレたちひょうきん族」

かつて土曜夜8時と言えば、この二つの番組が放送されていて、当時の小学生は必ずどっちかを見ていたし、月曜日の朝、学校に行ったら、全員集合派とひょうきん族派に分かれて、テレビの話を熱く語った。


ビデオがなかった当時、どちらか片方しか見れなくて、CM中チャンネルを回して、何とか両方見ようと頑張ったものだ。
当時は意識していなかったが、全員集合を見ている子達は、どちらかと言えば、親が教育熱心で、私立の幼稚園や小学校を受験している、もしくはそれらに通っている家庭が多かった。


ドリフの8時だよ全員集合のギャグは、厳しく型にはめる管理者いかりや長介と、管理から逃れようとする志村けんの組み合わせで成り立っている。(親子、先生と生徒、上司と部下などのパターンがある)形式はコントだが、ボケとツッコミという漫才の台本に近いことをやっていた。


ひょうきん族のギャグは、山田邦子片岡鶴太郎が典型だが、その時代流行っているカッコイイCMや映画やドラマのワンシーンを、ブサイクな人間がブサイクに演じて笑いを取る、モノマネスタイルのコントだった。


小学校〜中学の頃、田舎に住んでいたので、私立受験用の進学塾てのが電車で2駅離れた所にしかなくて、学校帰りに電車に乗って塾に行っていたのだが、15分に1本しか電車がない環境で、夕方6時〜7時ぐらいの駅のプラットフォームに立つと、歓楽街のある街に出る同級生の不良てのと、15分ほど一緒になるわけ。先のとがったエナメルの靴はいて、黒のストライプのスーツ着て、白いマフラーをスーツの襟元に垂らして、黒いサングラスにオールバックの髪型した小中学生が、電車に乗ってパチンコ屋に行く。地元のパチンコ屋だと顔バレするてのがあるからか、電車に乗って都会に出るんだけど、中には小学校低学年&高学年の兄弟でタバコ吸って「これ、俺の女」つって小学校中学年女子紹介されるとかもあってさ、声変わり前の小学校低学年がタバコで声がガラガラだったりするんだけど、タバコ吸うなと注意しようにも、親がヤクザで家業の英才教育でタバコ吸わされてるんなら、当時中学生の自分がどうこう口出ししてもしょうがないわけでさ。


俺は学習塾に通うような教育を受けていたから、口うるさい親の管理から逃れようとする志村けんのギャグに笑うんだけど、限りなくコスプレに近い不良ルックさせられて、タバコ吸ってパチンコやってを強制させられる子達もいるわけで、そっち系の教育を受けてる子なんかは、ひょうきん族の方が笑えたんだろうなと思う。ハリウッド映画に出てくるギャングみたいな格好を、身長120センチの子供がやってさ、タバコくわえるんだけど、映画やドラマみたいにカッコ良くはキマらない現実がそこにあるわけで、映画俳優と同じブランドの同じ服着て、だけどサイズが違うみたいな笑いに共感する層と、そもそもその元ネタの映画やCMやドラマを知らない受験勉強層がいるみたいな二分化が月曜日の学校で繰り広げられる。