亀田家のファイトスタイル

http://d.hatena.ne.jp/kidana/comment?date=20060811#c
whitestonerさん宛て
>空手スタイルってのも、不利なスタイル、ってのも決めつけだし。


格闘技に関して私より、白石さんの方が当然詳しいわけで、その辺りも補っていただきつつ書きます。
事実として、亀田3兄弟はボクシングよりも先に空手を親父から教わって、空手のキャリアの方が長いわけです。父親の意図として空手をボクシングより優先させたという気はします。テレビのドキュメンタリーでは「格闘技のプロリーグがボクシングしかないから」という言い方をしていたので、空手のプロリーグがあれば、ボクシングに進出させてないぐらいのニュアンスを感じます。同ドキュメンタリーの亀田家のトレーニングを見ても日本拳法の防具を使ってみたり、色んな格闘技を混ぜてやらせてるので、格闘オタクなんだなと感じました。つまり、動きにしろ、発想にしろ純ボクシングではないんですね。


「不利なスタイル」に関していうと、フットワークを使わずに、ひたすら前に出て、ガードもあまりせずに、フックの大振りを連打というスタイルは、骨太で、頭蓋骨の横幅が縦と同じか横の方が長いぐらいだと、脳震盪をを起こしにくいので、やれないことも無いと思うのですが、亀田次男はともかく、長男の顔を見ると面長で脳震盪を起こしやすい骨格をしているので、普通のボクシングスタイルでやった方が有利だと思います。


K−1でいうと、マーク・ハント選手、レイ・セフォー選手、角田選手、ボクシングでいうと、ジョージ・フォアマン選手やマイク・タイソン選手が亀田父の推奨するファイトスタイルに近いですが、亀田長男の骨格がどう見ても、ファイトスタイルと合ってないわけです。亀田父や次男があのファイトスタイルなのは百歩譲って有りだとしても。


通常ボクシングで体重が同じで、片方が骨太なタイプの場合、骨太な方は背が低く、リーチが短く、重心が低く体が分厚いわけです。試合が骨太対ひょろ長になると、ひょろ長い方はリーチを生かしてアウト・ボクシングをした方が有利で、背の低い方は、多少パンチをもらっても前に出てインファイトをした方が有利なわけです。亀田長男はどう見てもひょろ長タイプに見えます。


有利不利でいうと、亀田父はお客さんが喜ぶ試合を見せようとしています。激しいドツキ合いですね。普通のボクシング選手がそれをしないのは、ルール上不利だからです。アマチュアボクシング出身のテクニシャン系ボクサーが、打ち合わずに、ジャブのクリンヒットをポコポコ入れて、最初っから倒しに行かずに逃げ回って、効かない寸止め気味のクリンヒットでポイントを稼いで判定勝ちするのが、(ボクシングのルール上)有利=ズルイ=お客さんに好かれない勝ち方です。ボクシングルールの盲点をついて、ルールの上だけで勝とうとすれば、そういう勝ち方が有利になるわけです。ステップワークもガードもスウェーもウィービングもあまりせずに打ち合うのは判定にもつれ込めば不利なはずのスタイルです。


防御テクニックを使わずに闘うのが亀田家にとってはファンサービスなのですが、客の目から見て、単にボクシング技術が無いだけの弱い素人に見えてしまうという思惑のズレが痛いです。技術解説で亀田寄りに解説しようとすると、ボクシング技術を語るのは無理で、空手技術の文脈でテクニシャンだとフォローするしかないと個人的に感じます。仮に亀田長男が、ランダエタ戦をアマチュアボクサー的なファイトスタイルで闘っていたら、試合内容が同じでも、判定は支持されたと思います。ファンは今のスタイルより減りますが、ステップワーク使って、寸止めジャブ入れて、内容的に負けてても「ボクシングルールって、あーゆーファイトスタイルを支持するように出来てるよね」で済んでる話だと思います。


個人的には、亀田長男はノーマルなボクシングをした方が良いような気がするのですが。