お正月番組の思い出

去年だったと思うが、1月1日にさだまさしさんが24時間ラジオの生放送を行なうというのをやっていた。しかもラストの1時間をTV&ラジオの同時放送というイベントだ。で、そのTVにも流れる一時間ですが、深夜3時ごろの放送だと思うのですが、さすがにさださんと、ラジオパーソナリティーだけでは、テレビ番組として心許ないということで、ゲストに「タカアンドトシ」が出る、という辺りから、話がややこしくなってくる。


普段、ラジオのレギュラーをやって頂いているさださんに、お正月は特別企画で、24時間生放送、しかもラスト一時間はテレビ付き!というのがラジオ局スタッフの意志で、対するテレビ局スタッフとしては、さだまさしで視聴率取れるわけないだろ、タカandトシメインで番組作らせろ!というオーラが出まくっている。出演者本人がどうこう以前に、スタッフ間で既に喧嘩ムードが出まくっていて、トークの席も、L字型になっていて、エルの長い方の席にさだまさしはじめ、ラジオパーソナリティーの皆さん、短い方の列にタカandトシさんという90度の角度で、決してタカ&トシとさだまさしが同じ画面に映らない構造になってる。照明もさださんとタカ&トシのどちらかしか当てられない。


23時間ラジオの生放送でしゃべって、寝てないしお疲れモードのさだまさしさんが、TV始まって、しゃべりますよ。そこへ、元気いっぱいのタカ&トシが登場。歌手の中ではトークが面白いのが売りのさださんですが、相手は本職の漫才師で、二年連続NHKの賞を取った、新進気鋭の勢いに乗ったお笑い芸人で、やっぱり歌手では笑いの量で勝てない。すると、あの優しいさだまさしさんが、すごく恐い顔で「ギッ!」とにらむんですね。俺の番組に来て、俺より笑いを取るとはどういうことやっ!つうにらみですよ。それはね、さださんも、24時間生放送の最初っからタカ&トシがいて、ずっと一緒にしゃべっていて、23時間もしゃべっていればネタもなくなってくるし、眠気や疲労もある中、23時間共に闘った戦友として、よしラスト一時間頑張るぞだったら、自分よりいっぱい笑いをとっても、OKだと思うんですよ。23時間頑張っている人間の横に突然出てきて、血色の良い顔で疲労も睡眠不足も顔に出ていない中、面白いこと言ってみ、そりゃ恐い顔でにらむよと、いう話ですよ。


タカ&トシもその辺の事情が分かるので、なるべくしゃべらないで、さだまさしさんを立てて「さださん、さださん」と話を振るわけです。先輩に失礼のないよう、カメラをさださん側に一生懸命振っているのに、テレビ局側のスタッフが、さだまさしでなく、タカ&トシメインで番組を作りたいから、ことあるごとにタカ&トシにカメラと照明を振って「笑いを取って」とカンペを出す。ラジオの音声はさださんのトークが生きていて、テレビの画面はタカ&トシになっている。その状態で笑いを取れとカンペ出されて、どうすれば良いのか?黙るわけには行かない。放送事故は避けたい。でも、さださんは立てなきゃいけない。面白いことは言わなければいけないが、さださん程は面白くないトークをしなくてはいけない。さださんの邪魔にならないように小声でちょこちょこっと面白いことを言って、ボケとツッコミを交わして「じゃあ、さださん、お願いします!」空気を読むのが商売のお笑い芸人に、あの空気でお笑いをやらせるというのは地獄だとしか思えないのですが、見ている側は面白かったです。