筑波批評2009春 特集・ゲーム【予告編】

特集が「ゲームの予告編」ではなく、夏にコミケに出す筑波批評の特集がゲームで、その予告編。


「じゃんけんを限定するデザイン 山本勉」が面白かった。
格闘ゲームにおいて「攻撃・ガード・投げ」の三つのコマンドによる三すくみはじゃんけんとルールが類似している。じゃんけんは最適化戦略がなく、偶然性によって勝ち負けが決まる。しかし、それではゲームのやりこみによる上達が見込めず、すぐに飽きてしまう。格闘ゲームでは、じゃんけんの三すくみを非均衡にすることによって、やりこみによる上達や戦略性を生み出しているといった内容。


じゃんけんのように100%偶然で勝ち負けが決まるのもゲームデザインとしてまずいし、最適化戦略が一種類で限定されてしまう(Ex.3マス×3マスの3目並べ)のもまずいとなったときに、やりこんだ人間が百%勝てるデザイン(Ex.将棋)でも、百%偶然で勝ち負けが決まる(Ex.すごろく)でもなく、戦略性と偶然性を掛け合わせた(Ex.麻雀)デザインにいかに落とし込むのかや、そこに時間や身体性(操作能力)を入れて、擬似スポーツ的な要素を持ち込むという話など、非常に面白い。


ゼロアカの話をすると、道場破りをしたいという意欲があまりなかったシノハラさんと、意欲が高かった塚田さんの温度差は、飲み会での発言や卒業後の進路その他にも散見されると思う。批評家になってこういう事を伝えたいという表現内容が、自分の中にない場合、もしくはあってもそれが批評やゼロアカというフィールドではない場合、用語の使い方や論理の展開が鮮やかでも、結論部分がなにもないまま終わることが多くなる。塚田さんの温度は明確な結論があるところからきていると思う。