秋葉原駅前

で多くのメイドさんが雨の中客引きをしていた。
ずぶ濡れになったメイドさんは、どぶねずみ化したクジャクのようだった。


メイド喫茶メイドさんと有料でゲームが出来る店がある。
メイドさんが「ビジュアル系」とか「ガンダム」とか
物の名前が書かれたカードを数枚持ち、
お客さん(5〜8人)が「かわいい」とか「もえ〜〜」とか
形容詞が書かれたカードを数枚持ち、
メイドさんが出したカードに対して、
メイドさんが思っていそうなことを想像してカードで出す。
裏返しでカードを集めてシャッフルし、
一番メイドさんの気持ちに近いカードを出した人にチップが与えられる。
チップは数枚集めると、メイドさんと写真を撮ったり出来る。


ルール説明だけでは何が面白いのか分からないが実際にやってみると
それはゲームの名を借りたトーク接待で、メイドさんはカードで話題を決めて、
その話題に関してお客さんと一定時間トークをして、
客は好みのメイドさんとおしゃべりが出来るというシステムだ。


しゃべってみて分かるのは、アイドル志望の子やアイドルの卵が働いていて
カワイイ子ほど、アイドルになれる可能性が高そうな子ほど、
本気で仕事をしている。整形もすれば、キャラも作る。一度に一人で5人や8人といったお客さんを相手にゲーム=会話をする。全員に平等に接しなければならず、無口な人にはいっぱい話を振り、しゃべりすぎる人は適当にあしらい、時給八百円で一流ホステス並みの接客術が要求されるしんどい仕事だと思った。こういうところで磨いた話術が、バラエティーに出たとき生かされるのだろうなと感じた。


客としては、のんびりして少しトロい感じのメイドさんを見てほのぼのしたいのだが、上戸彩系の、アイドルとしてテレビ出ててもおかしくないルックスの子が、ハングリー精神むき出しでパキパキ動いて、本気でタレント目指して自分から下ネタ振って盛り上げようとするのを見て、生きて行くって大変だなぁ、という疲れがどっと出る。彼女よりもブサイクで彼女よりものんびり生きてる仕事の出来ないメイドさんの方が、幸せそうな気がした。知り合いに、元モデルの女の子とかいたが、なまじっか美人に生まれると、若いうちにアイドルにならなきゃとか、モデルとして成功しなきゃとか、自分の意志と無関係な外見で生き急がされる。16や18だと、高校辞めて東京行って芸能プロダクションに入ってとか思うかもしれないが、君達の倍生きてる30代でも美人はそれなりに美人だよと教えてあげる大人は必要だと思う。