書評

み~んなブスを好きになれ 集英社文庫―コバルト・シリーズ青島美幸 (著)
青島美幸のブスシリーズはバカバカしすぎて好きだ。
カワイイ/ブサイクの二元論で笑いを取るアーリー80’s(エイティーズ)ノリの原点は、松田聖子・テレビドラマ版「翔んだカップル」をルーツに持つ。翔んだカップルで、ドラマ初主演だった柳沢慎吾があの頃の自分にとって、志村けん小松政夫と並ぶスターだった。
翔んだカップル高校野球のシーンで、四番ピッチャー野球部主将の二枚目役が打席に立ったとき、相手ピッチャーの剛速球が頭に直撃し、二枚目役が倒れて、そこへタオルを持った美人マネージャー達、女子がいっぱい駆け寄って、二枚目役の体の上で泣き崩れる。女の子がキャプテンの胸元で泣こうとキャプテンの取り合いをする。
キャプテンがタンカでベンチに運ばれ、代打で補欠の柳沢慎吾が打席に立つ。さっきの様子を見ていた慎吾は自分も頭部に打球を受けて、自分の胸元で女の子に泣いてもらおうと打席に立つ。
相手ピッチャーは一度頭にビーンボールを投げているので、ビビって内角への速球は投げれない。ゆるい球がストライクゾーンの真ん中へ行く。柳沢慎吾はそのド真ん中のスローボールに頭を出して頭部にボールを当てる。倒れる柳沢慎吾に掛け寄るナインとマネージャー達。「大丈夫か?」と声を掛ける二枚目役の主将の背中で女の子達は泣き、主将の背中の取り合いが始まる。
原作漫画や映画を無視しまくったこのドラマで柳沢慎吾はブレイクし、「ふぞろいの林檎たち」へと繋がってゆく。当時、小学二年だった私は、高校生になったら翔んだカップル柳沢慎吾のような高校生活を送りたいと思った。