IGF

面白かった。CDでいうと、ベスト盤。レゲエ・テクノ・ハウス・アイドルポップス・ロカビリーの歴史的名曲を一つにまとめた。みたいな感じ。バラバラのジャンルの最高傑作を一箇所にまとめるのは、ビッグマウスの旗揚げ戦と似た印象で、今回の印象は良いが次につなげるのは難しくないか?と思ったりもする。


年齢だけで見ても70代のミル・マスカラス選手が、60代の藤波辰爾選手をグリーンボーイ(新人)扱いしているかと思えば、47歳の蝶野選手が、27歳の自演乙選手と闘ったり、17歳の定アキラ選手が出ていたりと、オールタイムベスト感がすごい。


個人的ベストバウトは
ボビー・ラシュリーvsエリック・ハマー


アマレスチャンピオンで、かつ元WWEのプロレスラーボビー・ラシュリー選手と総合格闘技の雄、エリック・ハマー選手のオリンピックレスリングルールでのガチスパーリング。ニコニコ動画生放送では「硬いアメリカンレスリング」と書かれてました。


次点が
タカ・クノウvsバル・ハーン
ケンドー・カシンvsブラック・タイガー
 
ブラックタイガー選手の正体は高岩選手と言われてて、新日ジュニア黄金時代の売れ筋No1商品をそのまま出した。往年のベテラン歌手が大ヒット曲をそのまま歌う、これを出せば、どんなお客さんも満足という定番商品。逆に、これ出しちゃって、次大丈夫なのか?他に在庫あるのか?冷蔵庫の食材全部使っちゃった感が不安になる試合でもあります。

国際的な柔術の大会で常に上位にいるタカ・クノウ選手とキックボクシングの経験もあり、モンゴル相撲の選手でもあったバル・ハーン選手の試合は、異種格闘技戦というコンセプトを上手に見せた試合です。タカ・クノウ選手は、テイクダウンも取れず、立ち関節も不発だった。バル・ハーン選手は、タカ・クノウ選手を場外まで投げた。この地点でバル・ハーン選手の勝ちという判断をするお客さんもいっぱいいると思うんですよ。そこで試合を止めずに、もう一度リング中央からスタートして、腕ひしぎ逆十字でタカ・クノウ選手が勝つのですが、相撲ルールならバル・ハーン選手の勝ちじゃん。という判断もあり。勝ち負けを見ている側にゆだねる部分込みで、異種格闘技だなと。
個人的に、タカ・クノウ選手のジョバーとしてのセルの上手さ。バル・ハーン選手にロープ際で投げられて、ロープに跳ね返るところを、自らロープをくぐってリング外に落ちようとしたり、落ちて怪我させてはまずいと、タカ・クノウ選手をつかんで、転落を防いだバル・ハーン選手の優しさ。そういう細かい部分で感動したりする。タカ・クノウ選手の勝ちを宣言されて、首かしげて、イマイチ納得いってないバル・ハーン選手の表情もすごく良い。


まったく期待してなかったのに良かった試合
藤波辰爾vsミル・マスカラス
木劇場withタイガー・ジェット・シンアブドーラ・ザ・ブッチャー

70代60代でプロレスをするということのすごさ。シン&ブッチャー組の、間とテンポだけで会場を笑わせるスキル。ブッチャーなんて何もしてない。猪木のシャツを引っ張っただけ、なのにあれだけ会場が沸いてなごやかな空気になる。

すごいのは、モンターニャ・シウバ選手が完全に、レジェンドヒール(シン&ブッチャー組)の間とテンポを学んで、自分の試合に生かしていたところで、試合後半、大したことしてないのに間だけで、会場の空気を支配していた。対戦相手のレイ・セフォー選手がお客さんの心をつかめないまま、引き立て役になってしまっていたのがかわいそうだった。


同じく、格闘技的には出来ること全部やったが、プロレス的には予定していたことが何も出来なかった感のあるピーター・アーツ選手。最初の予定だと、日本での興行で、自分は外人で、相手はプロモーターが一番プッシュしている新人と来れば、ヒールとして、反則攻撃の一つもやって、客席のヒート(怒り)を買って、という予定だったと思うんだ。同じK-1出身のレ・バンナ選手が審判ふっ飛ばしたり、シウバ選手が反則気味の攻撃で会場沸かせているのを見ると、悪役演じるつもりで来たのに、出てみたら、アーツ選手の人気が鈴川選手より上回っていて、ベビーフェイスとして迎えられてしまった。それで、予定全部飛んで、プロレス的なことは何も出来ないまま、試合だけして終わっちゃったって感じです。ジェロム・レ・バンナ選手も似たような所があって、最後に審判ふっ飛ばしたけど、反則とられずに、そのまま終わったのは、客席がレ・バンナ選手をベビーとして認識したからで、主催者としてもヒールにしたくなかったってことでしょう。最初っからベビーだって分かっていたら、アーツ選手だって、客席からの声援に対して手を振ったり、バク転してみせたりが出来たかも知れないが、予定と違ったってことで。