西村選手移籍問題

今回何が問題となっているのかですが
無我ワールドは西村選手とケロちゃん田中秀和リングアナ)が中心になって立ち上げた団体だと思っていたら、あとから合流した藤波辰巳代表のみが無我ワールド所属で後はみんなフリー契約だった。


じゃあ、団体立ち上げ時、誰が社長=プロモーターをやろうとしたのか?
1西村選手・田中秀和リングアナが自分達のやりたいプロレスをやるため団体を立ち上げたが、経営が行き詰まって、藤波辰巳選手に経営その他を引き継いでもらったのか。
2まだ新日にいた藤波辰巳選手が「俺があとから合流するから」と空手形を出して、先に西村選手田中秀和リングアナに団体を作らせたのか?


今回の移籍の問題点は、団体立ち上げから藤波社長合流までの流れが1なのか2なのかで、ずいぶん変わる。でも、俺的には1でも2でもどうでも良くて、西村選手にプロモーター兼エースをやる覚悟があるのかないのかにしか興味がない。世間的に冷静に見れば、西村選手なんて地味な脇役レスラーじゃん?エースだプロモーターだの器じゃねーじゃん?かも知れない。


カール=ゴッチ選手が亡くなったときに、追悼特集で色んな選手がカール=ゴッチに関する思い出を語る記事が出た。藤原組長と佐山聡選手がゴッチ道場に行った時、藤原組長が二週間先にゴッチ道場に入ったのだが、佐山聡選手がくるまでまったく何も教えなかったらしい。佐山悟選手が来て、初めて教えを受けることが出来た。


佐山悟(初代タイガーマスク)選手は、ある日、ローリングストーンズのベロ出しTシャツを着てゴッチ宅を訪れたら、物凄く怒られたそうだ。スーツを着ろ、ネクタイを締めろ、食事のときは音を立てるなと、厳しく礼儀作法を躾けられたという。


前田日明選手は凱旋試合で会社(新日本プロレス)から「TV中継で前田選手の試合のために30分の枠を取っているから、一分でも長くテレビに映れ、30分フルに試合しろ」と言われ、リングサイドのゴッチ先生からは「おまえは強いんだから、あんな弱い奴に何分も時間を取るな。一気に勝負を決めろ」と言われ、試合時間が五分を過ぎた辺りからリングサイドのゴッチ先生が「そんな奴相手に何分掛かってるんだ。一気にひねり潰せ」と怒鳴られ、15分ほどで試合を終えて、会社側・ゴッチ先生の両方からお叱りを受けたらしい。


西村修選手はゴッチ先生から、一流の服を着て、一流の車に乗って、一流の酒を飲めと教わった。ゴッチ宅を訪れる時にいつもお土産で葉巻を持っていくのだがある日「お前はいつも葉巻をお土産に持って来てくれるが、もし今後もそのつもりなら、箱付きの高い葉巻を買う必要はない。ビニールに入った安い葉巻がどこどこで売られていて、中身は同じ葉巻だ。葉巻は箱で吸う物ではない」と言われたという。


各選手ごとに教わる内容がかなり違うわけ。藤原組長は一目見て、あの顔あの体格、ショービジネスの世界でトップスターになれる素質がない。という判断だったと推測されるし、佐山聡選手は、初代タイガーマスクというベビーフェイス中のベビーフェイスで、プロレスの技術・身体能力的には申し分がない。むしろ身に付けるべきなのはベビーフェイスとしての服装・礼儀作法・態度だという判断をしたと推測される。前田日明選手は身長190センチと日本人としてはかなり大きな体格で、この選手はトップヒール向きだと、判断したと推測される。会社(新日本プロレス)的にはベビーのホープと判断したし、実際当時の前田選手のファイトスタイルは、派手で美しい動きで且つ、相手も自分も怪我をしないきれいな典型的ベビーのファイトスタイルだったが、結果的には、きれいな試合の流れをぶち壊すハードな掌底や蹴り=ヒール的なファイトスタイルで人気が出る。(当時、きれいな試合をする前田選手は観客に支持されなかったというのは、心情としてなんとなく分かるが、ハードな格闘技のイメージしかない前田選手を知った上で、いま見ると逆にきれいな試合も出来ることにむしろ感動するし、そちらの方がレアなお宝画像に見える)


で、西村選手だ。地味な名脇役のイメージが強い選手に、一流の服を着て、一流の車に乗って、一流の酒を飲めと言うわけだ。見えるところにお金を使うことで、高級ブランドを身に付けている自分も一流に見せることが出来るんだと。葉巻と言えば、昔、テレビでジャイアント馬場選手が葉巻を吸っているのを見て、付き人の練習生が「俺の一か月分の給料とあの一本の葉巻が同額なんだ」と嘆いたらしいが、葉巻一本十万円とかするらしいんだ。
大阪商人が金を溜めるには、人前では高級タバコをスパスパ吸って、まだ三分の一残ってるのに、火を消して、次のタバコに火を付ける。周囲の人が帰った後で、まだ残っている吸殻を集めて家で吸う。これが大阪で商売をするコツだと言うんだけど、ゴッチさんが西村選手に教えたことって、そういうことじゃん。マスコミの前では高い葉巻を吸いなさい。でも、その葉巻は安いディスカウントショップで買いなさい。ってことでしょ。カール=ゴッチは西村選手をプロモーターの卵と判断していたわけだ。ベビーで引き立て役やっていた選手が、プロモーターを始めても、金銭面での信用がないわけじゃん。通常、プロレスの給料は試合の後、チケットの売上げを回収してからだけど、資金面での信用がないと、給料先払いじゃないと出場しないとか、本当に給料払う能力があるかどうか怪しいから契約したくないとか思われるわけじゃん。だから、実際にはお金を持ってなくても、持ってるよという態度を取りなさいという教えじゃん。新日を離れてからの西村選手は、ある意味その教えを守って、ブログや雑誌記事でもブランド物をひけらかしているわけですよ。


その西村選手が無我から武藤全日に移籍ですよ。無我のプロモーター=経営者じゃなかったの?経営者だから取引先に対して、自分の下にいる社員に対して「金はあるから心配するな」という態度を取ってきたのじゃないの?無我では食えないので、武藤さんの下で働きますでは、何のために高い服着て、高い車に乗って、金持ってるそぶりを見せていたのか意味不明じゃん?まあ、その辺の矛盾はどうでも良いが、西村選手は入場時のガウンにしろ、手四つから始まる試合運びにしろ、オカルト的な言動にしろ、プロレスがあまり上手くないデカくてパワーのある選手相手に試合を作る能力にしろ、無謀とも思えるハイリスクハイリターンな経営判断にしろ、選手としても経営者としても猪木的な物を感じるし、猪木選手が好きなんだろうなと思う。アントニオ猪木って、力道山の付き人をしていた時から、俺は将来トップレスラー=自分の団体を持つプロモーターになるんだという、当時としては無謀とも思える野心=狂気を持っていたと思う。じゃあ、西村選手はどうなんだと。プロモーターとしてやっていく野心があるなら、藤波代表に何を言われようと自分がエースとして無我のみんなを食わしていく責任を負うべきだし、プロモーターなどせず、一選手として誰かの下で神輿を担ぐつもりなら、ゴッチさんはじめ、色んな人にそう説明すべきだろう。そのどちらでもなく、フリーバードとして、ブルーザー・ブロディ選手やウルティモ・ドラゴン選手のように世界を転戦するのもありだと思うが。


ああ、なんかまた痛い文章書いてるなぁ、俺。