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私立VS公立

小学校高学年の時、私立中学受験用の勉強をさせられた。小学校の勉強と中学受験用の勉強は、出題範囲が大きく異なり、受験用の勉強は受験用の塾で教わった。親や生徒が受験勉強に熱心になり、学校の勉強をおろそかにすると、生徒は学校の教師をバカにし始める。小学校教師としては、そのことは許しがたく、中学受験を禁止する方向へ圧力をかけるし、親と学校と塾が対立する中で、当時の自分は疲弊していった。あっちを立てると、こっちに怒鳴られ、こっちを立てると、あっちに怒鳴られる。その中で、何故、勉強をしなくてはいけないのか、勉強が何の役に立つのかを考えるようになった。


高校生に成って、大学受験を経験し、自分の勉強法が絶妙に間違っていたことに気付く。中学受験の影響から、学校の勉強と、受験用(塾や予備校)の勉強を対立するものとしてとらえていたが、大学受験(特に国公立受験)においては、むしろ学校の勉強の方が、受験に直結していると感じた。


国は教育指導要領に従って教科書を選定し、出題範囲を指定している。
公立中学・公立高校・国公立大学センター試験・公務員・官僚
これらはすべて国の管轄下にある。公立高校の授業範囲、教科書の範囲から国公立大学の入試試験は作られる。両方とも教育指導要領の範囲を厳密に守るのだ。


私立中学・私立高校・私立大学・民間企業
これらはすべて、営利企業である民間企業の管轄になる。パナソニック松下電器が出資して京都産業大学を作ったように、民間企業が欲しい人材を育てるのが、私立大学なのだ。それは教育指導要領からある程度、自由な位置にある。

・公立中学→公立高校→センター試験→地方国立大学→地方公務員
・私立中学→私立高校→予備校で受験技術を磨いて→私立大学→民間企業

国立大学に行きたいのに、予備校で私立受験用の受験技術を身に付けるのはマイナスでしかない。公立高校の教科書と授業を重視すべきなのだ。逆に、私立大学に行きたいなら、公立高校の勉強よりも、私立受験用の受験勉強を優先させるべきだ。


例えば、国際基督教大学ICUに入れば、授業は全部英語でなされる。会議はすべて英語でなされる日本在中の外資系企業に入りたいなら、ICUを選択すべきで、ICU用の受験勉強は、公立高校の勉強とはかなりかけ離れた物になる。キリスト教系の私立を受けるなら、英文の中に出てくるキリスト教用語が理解できなければいけない。Virginと言えば、処女懐胎した聖母マリアの事だと分からなければ合格は難しい。仏教系の私立を受けるなら、漢文の中に出てくる仏教用語を理解できなければいけない。公立高校では、信教の自由を守るために、特定の宗教の教えを教えることは禁止されている。


Yahoo知恵袋の大学受験スレッドを見ていると「私は東京の私立を受けたいのに、学校の先生が地元の国立大学受験を勧めてくる」という悩みが時々書かれる。私が経験した中学受験時の板挟みと似ている。地方の公立高校の先生は、地元の高校から地元の国立大学に行って、地元の高校に就職し、地方公務員に成っている。その進路が、自分にとって一番良い進路だと考えたから、それを選んだわけで、自分の思う一番良い進路を自分の生徒に勧めるのは自然なことではある。


けれども、高校生ともなると、全員が全員、地元の国立大学教育学部に行って、高校教師になるべきだという進路指導が、間違った進路指導であると、反論するようになっている。先生とは違った道があることを自分の頭で考える程度には成長している。


受験技術的なことを言えば、キリスト教系の大学の入試問題と、仏教系の大学の入試問題は異なるのに、同じ模試で偏差値を出して、合否判定するのは、あまり賢明ではない。私立受験をするなら、高校一年の早い段階で志望校を決めて、志望校の過去問を解き、出題範囲を体で覚えるべきなのだ。すべての私立大学の出題傾向が異なる以上、自分が受験する大学の出題傾向を知った上で、受験勉強をすべきだ。よく受験直前に成ってから過去問を解いて、合否を占うという人がいるが、直前に初めて過去問に触れるのは無意味で、仮に解けなかったとき自信を失うだけだ。


スポーツに例えるなら、公立高校の勉強やセンター試験国公立大学の入試は、体力測定だ。反復横跳び・垂直跳び・百メートル走・立位体前屈・伏臥上体そらし、基礎体力を測るテストだ。


私立大学の入試は、野球やサッカーやバスケや柔道やボクシングだ。百メートル走が速ければ、スポーツをする上で有利には違いないが、野球を専門にやっている野球選手と野球の勝負をしても勝てない。プロ野球選手に成りたければ、野球専門のトレーニングをすべきで、基礎トレばかりをやっていても仕方がない。


公立高校の先生が私立受験を嫌がる理由の一つは、地方の国立大学から公立高校の先生になった高校教師にとって、私立受験は未経験であり、私立受験用の勉強を教えることが出来ないから、私立受験を嫌がるというのもある。その逆の話も聞く。私立高校の先生に、地方国立大学の受験を希望すると、嫌な顔をされる。国公立大学受験用の勉強を私立の先生は教えられないのだ。


私立大学から公務員になるにはハンデがある。公務員試験には二種類あって、一般職(高卒〜四大卒程度)と総合職(四大卒〜院卒程度)。公務員試験に合格しても、採用先がない場合、就職できない。採用は合格者の三分の一程度で、コネクションの有無が作用する。○○県の公務員に成りたければ、○○県の○○大学に行けば、優先的に採用される可能性が高くなる。それは地元国立大の就職率を上げるために、県主導で行われていることだ。