文系の学問は理系より発達してない?

文系より理系が偉いみたいな一般論の中で、よくある話として出てくるのが
「理系の学問は数十年前より急速に発達して、自動車やテレビや携帯電話やインターネットを生み出したが、社会科学を見ると紀元前の古代ギリシャ時代でも直接民主制は生まれていたわけで、ここ2000年ほど全く発達していない」
みたいな言い方はよくある。理系は便利な発明品を次々生み出しているけど、文系は何も生み出していない、みたいな話。

でもね、貨幣経済一つとっても、江戸時代は年貢を米で収めていて物々交換だったわけだ。百歩譲って、金貨や銀貨や銅貨はあったとして、紙幣は無かった。厳密には幕末には藩が藩札発行していたとかあるが、紙幣の普及が明治時代だとして、不換紙幣の普及なんて、ドルショック以降だから1971年以降。証券だ株式だデリバティブだと新しい金融商品の発明は、続いている。
理系の発明品は、マッチやライターが分かりやすいが、自然環境に対する人間側の勝利だから、利便性が非専門家にも享受できるようになっている。
対する文系の、特に社会科学絡みの発明は、人間の人間社会に対する勝利だから、ゼロサムゲームの要素があって、金融商品の取引に強い専門家は、専門的知識を持たない庶民から利益をかすめ取ることができる。文系の学問が発達し、社会のシステムが高度に複雑化すればするほど、庶民が苦しむという側面がある。社会科学の発明品に対して非専門家の庶民が利便性を体感する機会がほぼない。
文系から社会科学を除いて、純粋に人文科学に限定したとしても、高度に複雑化した法制度とか、複雑化したプログラミング言語とか利便性をあまり感じないわけで。