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後藤健二さんの母、石堂順子さんの会見

http://www.news-us.jp/article/412816651.html
ネットで、あの場で反原発の主張はおかしいと叩かれているが、遠高京子さんの「空は希望」を思い出した。
空は希望
       高遠京子
朝日が昇りはじめた
思わず 手を合わせ祈った
この空、イラクにも続いてる
地球上の どんなところにも
空がある
雲が出て 雨が降り 雪になっても
青空が戻る ましてや
空が無くなることはない
空は希望
地球をとりまく空は
世界の希望
地球上のあらゆる苦難も
希望にかわる
菜穂子 空を見ていて下さい
イラクの空も 日本の空も
希望色に 染まるまで
  平成十六年四月十日

2004年にイラクで武装テロ組織に拘束された遠高奈緒子さんの母親が記者会見で詠んだ詩が「空は希望」だ。今回の後藤健二さんがISISで拘束されて母親の石堂順子さんが会見を開き、そこで語られる内容が非論理的だとネット民から叩かれている状況は「空は希望」の時と似ている。論理的に物を語るなら、イスラム教徒を名乗る武装組織に対して、コーランを引用し、イスラム教で殺人が禁止されていることを説けば良い。そこに行かず、論理から離れた詩の形式になる理由について考えた。石堂順子さんを批判する人達は、石堂さんが公の場で私的な感情をさらしてしまっていると考えているが、むしろ逆ではないか。あの詩は私的な本音ではなく、公の場に合わせた建前なのではないかと、私は仮説を立てる。空は希望も、石堂さんも日本的な古代宗教、古事記から柳田国男に連なるアニミズム的な話をしているのではないか。「山のあなたの空遠く」作:カール・ブッセ、訳:上田敏、の世界にいる感じがする。


一神教イスラム教徒に拘束されて、一神教キリスト教圏の記者に囲まれた状況で、一神教的な論理で語らずに、多神教的な汎神論、情緒的な自然崇拝に行く。先進国首脳会議の映像を見ても、日本の総理だけが異常者に見えてしまう。日本だけが有色人種とか、髪や目や肌の色もあるが、一神教的な論理が通じない、アニミズムと情緒を公的な物とみなす態度が奇異に見える。


日本のネットは右翼色が強い。左翼の理想論に対して、右翼の現実論。性善説前提の世界平和や弱者救済の思想に対して、性悪説前提の軍事論や弱肉強食論。テロが発生しているイラクISISに自己責任で行く人達は、基本イラクISISに共感している人達で、強いアメリカにくみせず、アメリカにいじめられる弱者の言い分を現地取材しようという左翼の理想主義者で、そういう人の親も基本左翼で、だからこそネットで右翼から叩かれる。共同通信などで配信される国際ニュースのほとんどは英語圏のアメリカ発信で、アメリカの主観が入ってない現地の声や言い分は配信されない。アメリカが「危険だから入るな」と言っている地域に、自分から入って痛い目に合ったら、それ見たことかと。アメリカが言っていた通り、アルカイダISISも危険なテロリストで悪者だっただろ。アメリカの助言に従わずに勝手に危険区域に入ったんだから、自己責任で勝手に殺されろと。そういう叩かれ方をするわけだ。


そういうネット右翼を想定して、日本の右翼思想の核でもある古事記神道アニミズムの語り口で、世界平和という理想論を説く。公の場だからこそ、祝詞まで行かなくても非論理的な詩の言葉を使う。そんな気がした。